抜き書き_SF小説
March 19, 2024•21 words
「人間の眼がこの光景を眺めたことはかつて一度もない」
闇の中からカレルレンの声が響いた。
「あなたがたは、自分の宇宙、つまり、あなたがたの太陽がその一員である、銀河系と呼ばれる島宇宙を見ているのだ──五十万光年の彼方から」
長い沈黙があった。やがてカレルレンはふたたび言葉を続けたが、その音声には、憐れみとも嘲りともつかない何かがこめられていた。
(「あなたがたの種族は、あなたがた自身の、どちらかといえば小さい惑星の問題を処理することにすら、驚くほどの無能ぶりをしめした。われわれがやってきたとき、あなたがた人間は、科学がほんのわずか性急にあなたがたに与えた力のために、みずから絶滅への道を辿ろうとしていた。われわれが干渉しなかったら、いまごろ地球は放射能まみれの砂漠と化していたろう。
さて、あなたがたはいま平和な世界に住み、一つのまとまった種族となった。間もなくあなたがたは、われわれの助けがなくとも充分この惑星を運営していけるだけの力を持つだろう。さらに進んで、いずれはこの太陽系全体──五十個余りの衛星や惑星の管理もできるようになるかもしれない。しかし、諸君は、これに太刀打ちで...
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